TEAM Xの『芸能エンタメ深掘りリサーチ』vol.1『どうなる?4月期新作ドラマ。 日本ドラマ界も非常事態へーー。 代替え再放送ドラマが想定外の高視聴率』

人気情報誌「T1」にて連載のパーティセレブページ担当・TEAM X、「ACTRESS PRESS」 にて復活連載をスタート!

新型コロナウイルス感染拡大によって
4月期新作ドラマや春ドラマも大混乱だ。
非常事態宣言も発令され、各ドラマの撮影が
軒並みストップ、さらに5月4日に非常事態宣言の
5月31日までの延長が発表され、撮影再開や放送の見通しが未だつかない状況だ。

今期は、今世紀最高の視聴率42.2%をたたき出した全ドラマファン待望の堺雅人主演 TBS系ドラマ『半沢直樹』続編をはじめ、篠原涼子主演のスーパー派遣社員の活躍を描いて社会現象を巻き起こした日テレ系ドラマ『ハケンの品格』も再び登板。木村拓哉主演でテレ朝が「相棒」「ドクターX」に続く人気シリーズとして狙う『BG〜身辺警護人〜』など実績がある超話題作が目白押しだっただけに、残念でならない。

初回放送までこぎつけたドラマは30本中19本、
5月4日現在で継続放映できているのは16本、
特にゴールデンタイム、プライムタイムに
放映されている民放キー局メインドラマ13本中、
初回放送までこぎつけたドラマは5本、
5月4日現在で継続放映できているのはわずか
1本というドラマ業界がかつて経験したことが
ない危機的状況だ。

日テレ系は、中村倫也主演、ドラマヒットメーカーの東村アキコ原作の『美食探偵 明智五郎』、深夜枠の『正しいロックバンドの作り方』『FAKE MOTION –卓球の王将-』が放送中。
新川優愛主演『ギルティ~この恋は罪ですか?~』は3話で休止。『ハケンの品格』、中島健人・平野紫耀 W主演の『未満警察 ミッドナイトランナー』と共に撮影再開待ちになっている。

TBS系で放送中は、映画も待機中の齋藤飛鳥主演『映像研に手を出すな!』のみ。『半沢直樹』、多部未華子主演の『私の家政夫ナギサさん』、綾野剛&星野源W主演の『MIU404』が撮影再開待ちになっている。

他局より早い時期からの撮影が功を奏していたのはテレ朝系。内藤剛志主演の『警視庁・捜査一課長2020』、井ノ原快彦主演の『特捜9 SEASON3』、松岡昌宏主演の『家政婦のミタゾノ』、三浦翔平・安斉かれん主演『M 愛すべき人がいて』、なにわ男子など関西ジャニーズ総出演の『年下彼氏』の5本が予定通り放送開始。しかし『特捜9 SEASON3』は4話放送で、『M 愛すべき人がいて』が3話放送で、『家政婦のミタゾノ』は2話放送で休止となった。『特捜9 SEASON3』と『家政婦のミタゾノ』は、撮影再開まで過去のシリーズ傑作選で乗り切り、『M 愛すべき人がいて』の次回5月9日(土)は、第1話に、スペシャルオーディオコメンタリーとして、同ドラマを注目している伊集院光氏と古市憲寿氏による番組解説を加え、4話以降のみどころも初出しにして、1話のリミックスバージョンとして放送するそうだ。現在、初回放送が待たれる『BG〜身辺警護人〜』と共に撮影再開待ちである。

フジテレビ系は、織田裕二主演の月9最新作『SUITS/スーツ2』をスタートさせたが、2話放送で休止。代替えドラマは、同ドラマのseason1と思いきや、一作目の映画版が大ヒットし、二作目の映画の公開が待たれる長澤まさみ主演の『コンフィデンスマンJP』傑作選となった。この導入にはある仕掛けがあって、本編前の冒頭シーンに両作に出演している小手伸也が、『SUITS/スーツ2』の弁護士蟹江役と『コンフィデンスマンJP』のコンフィデンスマン・五十嵐役の1人2役を演じた掛け合いのコラボ映像が放送されたのである。この繋ぎは見事であった。
現在放送中は羽田美智子主演『隕石家族』のみ。
『SUITS/スーツ2』と共に、玉木宏主演『竜の道 二つの顔の復讐者』、石原さとみ主演『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』が撮影再開待ちになっている。

テレビ東京系も早期の撮影で、ドラマBiz枠 鈴木京香主演の『行列の女神~らーめん才遊記~』、ドラマホリック枠 増田貴久主演の『レンタルなんもしない人』、松重豊主演のミニドラマ『きょうの猫村さん』、ドラマ24枠 佐藤二郎主演の『浦安鉄筋家族』、ドラマ25枠 安達祐実主演の『捨ててよ、安達さん』、栗山千明主演の『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 Season2』が放送中。
しかし田中圭、安田顕主演、金曜8時のドラマ「らせんの迷宮~DNA科学捜査~」は撮影再開待ちになっている。

NHKは、故志村けんさんの存在感ある演技が大きな話題になった窪田正孝、二階堂ふみ主演、NHK朝ドラ「エール」、貫地谷しほり主演の『ディア・ペイシェント〜絆のカルテ〜』、全8回を撮り終えている千葉雄大主演『いいね!光源氏くん』が放送中。
春ドラマではないが、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(長谷川博己出演)も収録ストックが6月7日放送の第21話分までで6月中に放送中断は濃厚だ。

撮影再開待ちの各ドラマは、非常事態宣言解除を信じて5月7日から一気に撮影再開を想定して、演者のスケジュールや撮影スタジオなどを組み直しいただけに、5月31日までの延期は、現場から悲鳴が上げっている。

では今後、現実的にどうなるか?
6月1日に非常事態宣言を解除されることを大前提とすると、通常12回と言われる①ドラマ放送回数を大幅に減らして放送する か、②ドラマの放送延期の二択しかない。

どちらも演者のスケジュールが大きくかかわるが、
前者の場合、一週間で一本分撮影を想定すると、最大4本が限界だろう。そうなるとすでに放送された分や放送開始前だが現在ストックしている尺を足すと、バラつきはあるだろうが、トータル6回〜8回になる。本来12回で表現しようとしたドラマを半分近くを削らないといけない苦渋の決断になるに違いない。すでに監督や脚本家は、撮影再開のタイミングに合わせて数パターンの台本の書き換えをしているはずだ。最悪のシナリオであるドラマのお蔵入りは何としても回避してほしいものだ。

後者の場合は、主演を含むメインの演者のスケジュール確保と編成の手腕にかかっている。特に豪華キャストが集結する大作ドラマは、同じメンバーを改めてスケジュールを抑えるのは大変困難といえる。しかし制作サイドとしても演者サイドとしても、誰しも良いドラマを作りたいという気持ちは一緒なので、何としてもこの非常事態を力を合わせて乗り越えてほしいものだ。唯一の救いがオリンピック延期によって7月の放送枠が余裕があること。4月期新ドラマの放送時期を7月末頃まで延長するのも一手だろう。今期の目玉ドラマである『半沢直樹』が、7月期からの放送延期に調整しているという情報も入ってきた。このような思い切った判断が、素晴らしいドラマを守り、生み出すと信じたい。

そして今回のドラマ非常事態に、名作ドラマの再放送が軒並み高視聴率を獲得している。大沢たかお演じる医師が江戸時代にタイムスリップし、コレラやはしか など当時未知だった感染症に立ち向かうというドラマ『JIN-仁-』(2011年作品)は、新型コロナウィルス感染と闘う現在の状況と重なり、視聴者に大きな感動と勇気を与えてくれた。昼帯の放送にもかかわらず、1話11.6%、2話11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高視聴率となった。
また亀梨和也、山下智久、堀北真希主演の『野ブタ。をプロデュース』(2005年)特別編も、1話11.0%、2話10.9%、3話8.4%と高視聴率をマーク。
いじめられっ子の転校生・小谷信子(堀北)の“野ブタ”を、高校生・修二(亀梨)と彰(山下)がプロデュースすることで人気者に仕立て上げようとする内容。いま観ても話が面白く、当時社会問題にもなっていた“いじめ”をテーマにしていながらも、コミカルなシーンや笑えるエピソードもたくさん散りばめられ、前向きになれるココロに刺さるキラキラした青春学園ドラマだ。「野ブタパワー注入!」や「コンコン」は当時の流行語になり、修二と彰が歌う同ドラマの主題歌「青春アミーゴ」は、累計売上162.6万の大ヒットとなった。ドラマを観ない、今のYouTube世代の若者にはぜひ観てほしいドラマだ。

新型コロナウィルス感染拡大によって先が見えない閉塞感漂うこういう時代だからこそ、夢や希望、感動や楽しさを与えてくれるテレビドラマに、大きな存在意義がある。いまこそテレビドラマの底力を見せてほしい。

執筆/TEAM X

スポンサーリンク