映画初主演作が公開!佐藤綺星、ファンの笑顔に「緊張が和らいできた」
AKB48の佐藤綺星(さとう あいり)が2026年10月3日、東京・kino cinéma新宿で行われた映画『歌って!』の公開記念舞台挨拶に登壇しました。映画初主演を飾った佐藤は、共演の谷中詩、ノボせもんなべ、髙村剛志監督とともに、撮影の舞台裏や役柄への思いを披露。アイドルとして活動する中で抱える葛藤、そしてその歩みを支えてくれるファンへの感謝も、まっすぐな言葉で伝えました。
10月2日に全国公開された本作は、福岡を舞台に、アイドルという華やかな世界の裏側にある努力や葛藤、仲間との絆、夢を信じ続ける強さを描く青春映画です。佐藤が演じるのは、歌もダンスも経験のない平凡な女子高生・城田海梨。親友の代役として突然ステージに立つことになった少女の奮闘を、現役アイドルならではの経験と、自身の素顔にも通じる明るさで表現しています。
登壇した佐藤が客席に手を振ると、観客も一斉に手を振り返し、会場には温かな空気が広がりました。その光景に、ノボせもんなべは「佐藤さんが手を振ったら魔法のようにみんなが手振り返してくれて。素晴らしい」と感嘆。映画の公開を祝う場は、冒頭からキャストと観客の距離の近さを感じさせるひとときとなりました。
佐藤は、前日に新宿と横浜で行われた舞台挨拶を振り返ろうとして、「昨日、2公演…じゃないか(笑)」と、思わず普段のアイドル活動で使う言葉が飛び出す場面も。「(AKB48の一面が)出ちゃいました(笑)」と笑い、「2回、舞台挨拶をさせていただいたんですけど、今日の方がすごく緊張していて、でも皆さんの顔を見たら緊張が和らいできたので、いろんなことをお話しできたらいいなと思います」と挨拶しました。
「巨大な佐藤綺星が見られる」映画好きの自身に訪れた、スクリーンへの第一歩
AKB48の64枚目のシングル「恋 詰んじゃった」でセンターを務めた佐藤。本作では、ステージで歌い踊るアイドルとしての活動から、映画の主人公を演じるという新たな挑戦へ踏み出しました。
主演のオファーを受けたときの心境を尋ねられると、佐藤は「巨大な佐藤綺星が見られるんだと思いました」と、スクリーンに映る自分への驚きを率直に表現しました。
「スクリーンに映る自分が不思議な感じがして、私は映画とかがすごく大好きで、1人でも見に行くんですけど、そこに自分がいるって思うだけでなんか不思議な感じでした」
一人でも映画館に足を運ぶほど映画が好きだという佐藤にとって、映画初主演は、親しんできた世界の中に自分自身が登場する特別な経験だったようです。一方で、作品のタイトルを目にしたときには、アイドルとして日々向き合っている「歌を届ける」という行為への思いが、役を演じる意欲につながったといいます。
「『歌って!』っていうタイトルを見たときに、私もAKB48でアイドルをやらせていただいているので、歌で届けるっていうことのなんか大切さを、この映画で自分としても海梨としてもお伝えできたらいいなと思って、気合が入りました!」
映画への憧れと、歌を通して人の心に届けたいという思い。その両方を胸に、佐藤は海梨という少女の物語に向き合いました。
素顔に近い海梨から学んだ「誰かのために動く」強さ
物語は、海梨が、アイドルとして活動する親友・佐久間咲音のライブを初めて訪れるところから始まります。しかし、咲音はライブ前に会場を逃げ出してしまい、ステージに穴を空けられないマネージャー・加山は、海梨を代役として出演させようとします。
歌もダンスも未経験ながら、断りきれずに引き受けてしまう海梨。元アイドルでもある加山の指導を受けてもなかなか覚えられず、坂本愛玲菜演じるカノンが率いる人気アイドルグループ「RIG-TAG」の力を借りることになります。開幕までの時間は、わずか4時間半。海梨はステージに立てるのか、そして咲音は戻ってくるのか。二人の長い一日を通して、夢を追う人と、その背中を押す人の思いが描かれます。
実際に海梨を演じた感想について、佐藤は上映を終えた観客に向けて「佐藤綺星がいっぱいいたと思うんですよ」と語り、役柄と自身の間に多くの共通点があったことを明かしました。
「素の私に近い感じの性格をしていて、でも、私よりもうちょっとあっけらかんとしているというか、無邪気で元気ハツラツな女の子なんですけど、咲音のためを思って行動していたりとか、自分のためじゃなくて他人のために動くっていう海梨に、私も尊敬の気持ちが生まれたので、自分としても海梨としても、ステージに立つプライドも改めて感じました」
自分に似た部分を持つ役でありながら、親友のために行動する海梨の姿には、演じる佐藤自身も心を動かされた様子。海梨を通じて、ステージに立つことの意味を改めて見つめ直したことが伝わる言葉でした。
撮影はわずか3日間!リモートでの台本読みと、あえて振りを固めない役づくり
舞台挨拶では、撮影期間がわずか3日間だったという、驚きの制作エピソードも明かされました。髙村監督によると、当初は短編として予定を組んでいたものの、脚本を書き進めるうちに長編のボリュームになっていったといいます。限られた日程の中で撮影を成立させるため、事前にリモートなどで練習を重ね、基本的にミスなく一度で撮ることを目標にしていました。
佐藤も、福岡と東京をつないで台本読みを行ったことを回想。一方、パフォーマンスの場面については、当日に動きを合わせる進め方が、突然ステージに立つことになった海梨の状況と重なり、役を演じるうえでよい方向に働いたと語りました。
「パフォーマンスするシーンは、全部フリ起こしで海梨みたいに当日に合わせるみたいな感じだったので、逆にわたし的によかったかと思います。合わせないで行くっていうのが海梨と同じだったので」
劇中で海梨がダンスを習う場面では、佐藤自身も実際に撮影しながら教わっていたそうです。「あのシーンは(ダンスが下手に見えるように)振りをバチっと入れないで行きました」と、経験のない少女を表現するための工夫を明かしました。
日頃から歌やダンスに取り組む佐藤だからこそ、踊れる身体で「踊れない人」を演じる難しさもあったようです。慣れた動きをそのまま見せるのではなく、海梨の戸惑いや不器用さを表現しようとする姿勢が、撮影の裏側から浮かび上がりました。
AKB48劇場でも急な代役を経験「何時間かで覚えてユニットだけ出る」
突然、歌や振り付けを覚えてステージに立つという映画の展開について、ノボせもんなべから、実際のアイドル活動でも同じようなことがあるのかと尋ねられると、佐藤はAKB48劇場での経験を紹介しました。
「誰かが体調不良とかで出られなくなった場合で、代わりの子がいなかったときに、何時間かで覚えてユニットだけ出るみたいなことはあるっちゃありますが、(海梨のように)経験なしでやるっていうのはなかなかないと思いますね」
限られた時間で準備を整え、ステージを支える経験は、実際の活動にもあるものの、歌もダンスも未経験の海梨が挑む状況は、さらに大きな困難を伴うもの。佐藤は、海梨の挑戦が周囲の協力によって支えられている点にも目を向けました。
「海梨も衣装とか作ってくださったりとか、周りの方に支えられてやっと立てたって感じなので、本当に尊敬します。我ながらすごい!」
役柄への敬意を語りながら、最後は明るい言葉で笑顔を見せた佐藤。ステージに立つ本人の努力と、その姿を送り出す人々の存在を、自身の経験も交えながら伝えました。
4時間半でステージに立つなら「歌詞」が難関!身体に染みついたリズムにも苦戦
海梨が4時間半後のステージに向けて奮闘することにちなみ、自分が同じ状況になったら何に一番困るかという質問には、佐藤は「歌詞」と回答しました。
「主題歌の『サヨナラ、五時過ぎの私』が本当に大好きで、ファンの皆さんも『いい曲だね』って言ってくださっているんですけど、歌詞が難しくて…。私、日本語苦手なので」
作品の主題歌への愛情を語りつつ、ユーモアを交えた言葉で会場を和ませました。谷中も、新曲に取り組む際はまず歌詞を覚えると話し、現役アイドル同士ならではの実感を共有しました。
また、ダンスを下手に踊る芝居について、佐藤は「リズムが体に入っちゃっていた」と告白。普段のパフォーマンスで身についた感覚が、未経験者の役を演じる際には難しさにつながったといいます。
こなれた印象に見えないよう意識していたものの、映像を確認すると「なんか踊れていました(笑)」と振り返り、「もうちょっとダメなほうにいけたかな…」と、さらなる表現の余地も感じた様子でした。
一方、つまらない司会者・マーベラス杉元を演じたノボせもんなべは、自分の役づくりも佐藤と同じだと主張。本来できることを、できないように見せる難しさになぞらえると、佐藤は「ちょっと違うかも」と返し、軽快なやり取りで笑いを誘いました。
谷中詩は「妹みたい」――チロリアンのお返しと「綺星お姉ちゃん」に大喜び
親友・咲音を演じる谷中詩は、福岡を拠点にアイドル活動を行う15歳。オーディションを経て役をつかみ、咲音が抱える葛藤や悔しさについて、自身もアイドルだからこそ理解できたと語りました。
撮影当時は14歳だった谷中が「無事に高校入学できました」と報告すると、佐藤は「わー、すごい!」と声を上げて祝福。「リアルJKだ」と感慨深そうに反応し、二人の親しさがうかがえる場面となりました。
ノボせもんなべからは、舞台裏で佐藤が谷中にプレゼントを渡していたというエピソードも。佐藤は、谷中から大好きな福岡のお菓子「チロリアン」をもらったことがうれしく、お返しをしたいと思って、この日プレゼントを持参したと説明しました。
楽屋でも仲睦まじいやり取りをしていたという二人。佐藤は「でも7歳も違うので、(谷中を)妹と言うのも恥ずかしいんですけど、妹みたいな感じでかわいいです。癒されます」と、谷中への愛情を言葉にしました。
谷中が「嬉しいです。綺星お姉ちゃんで」と返すと、佐藤は「あーっ、嬉しい!」と大喜び。劇中で親友を演じた二人の関係は、撮影を終えた後も温かく続いているようです。
主演起用の決め手は「声」――髙村監督が感じた佐藤綺星の飾らない魅力
佐藤を主演に選んだ理由について、髙村監督が挙げたのは「喋っているときの声」でした。海梨という役名については、佐藤の名前から取ったものではなく、物語を考えた際に最初に浮かんだ名前だったと説明。そのうえで、誰に演じてもらうかを考えたとき、佐藤の声が決め手になったと明かしました。
「この声の響きが嘘がない感じがするんですよ。普段もこんな感じの人なんで嘘がない。こんなにいい人いるんだっていうくらい本当にこのまんまで、僕は声で“この人だ”って」
監督が見いだしたのは、佐藤の声と、普段の振る舞いに感じられる飾らない人柄。海梨という少女の存在を思い描くうえで、その響きが大きな手がかりになったといいます。初めて起用理由を聞いた佐藤は、「嬉しいです。初めてお聞きしました」と喜びました。
一方、谷中について監督は、オーディションで見せた、自分なりに役へ向き合う不器用さが咲音の人物像と重なったと説明。ステージの上では明るく振る舞いながら、内面に葛藤を抱える咲音を演じる存在として、強く印象に残ったそうです。
また、短期間の撮影では天候にも翻弄されたといいます。冒頭の場面や、二人が言葉を交わす終盤の場面では大雨に見舞われたものの、雨が上がったタイミングを逃さず撮影。限られた時間の中で、キャストとスタッフが力を合わせて作品を完成させた舞台裏も語られました。
「その過程もしっかり見てくれている人がいる」理想に届かない苦しみを支えるファン
舞台挨拶では、アイドルとして活動する中で、苦しい、つらい、辞めたいと感じた瞬間はあるかという質問も投げかけられました。佐藤は、ステージに立てること自体の大きさを本作を通して改めて感じたとしたうえで、目標へ向かう過程で抱く苦しさを率直に語りました。
「自分の思い通りにいかなかった時とか、自分の理想や目標を掲げて、そこにたどり着くまでの過程がやっぱり一番苦しいんですけど」
それでも、ステージから見える観客の顔や、握手会、お話し会で寄せられる言葉が、佐藤を支えているといいます。ファンは、自分では気に留めていなかった仕草や振り付けにも目を向け、「好き」と伝えてくれる。その積み重ねが、自身の歩みを受け止めてくれる人の存在に気づくきっかけになっていました。
「自分が目標とかゴールを決めてるけど、その過程もしっかり見てくれている人がいるんだっていう気づきがあって」
佐藤はこれまで、理想に届かないときの苦しみを誰かに伝えることにためらいがあり、舞台裏のつらさを見せることは、アイドルとしてどうなのだろうかと考えてしまうタイプだったと明かしました。
「それを受け止めてくださる皆さんがいるから、苦しいこともつらいことも乗り越えられるなっていうのを、この映画を見て改めて気づかされました。ありがとうございます」
目標に到達した瞬間だけでなく、そこへ向かう途中の姿も見守ってくれる人がいる。佐藤は、作品から得た気づきを自身の活動に重ね、会場に集まったファンへ感謝を伝えました。
谷中も、努力しても思うようにいかなかったときや、歌詞を間違えてしまったときの悔しさに触れ、熱心に応援し、何度も特典会を訪れてくれるファンが心の支えになっていると語りました。二人の言葉は、映画が描くアイドルの葛藤と、現実の活動を支える人々の存在を結びつけるものでした。
「かわいい」だけではない、アイドルとファンがつくるステージの力
本作を制作するきっかけについて、髙村監督は、かつて近所に住んでいた女の子が福岡でアイドルになり、そのグループの解散ライブに招かれた経験を紹介しました。人生で初めて訪れたアイドルのライブで、歌うアイドルと、それに応えるファンのコール&レスポンスが会場を熱くする様子を目にしたといいます。
「アイドルってアイドル単体を指すんじゃなくて、きっとファンも含めてアイドルなんだなって思って、“アイドルってかっこいいな”と思って、かわいいだけじゃなくてかっこいいんだっていうのを伝えたいなと思って作りました」
ステージに立つ人だけでなく、その姿を見つめ、声を返し、応援する人がいて生まれる熱気。その体験が、作品の出発点になっていました。
佐藤が語った、目標へ向かう過程まで見てくれるファンへの感謝も、監督が感じたステージの魅力と響き合います。舞台挨拶では、物語の制作背景と、現役アイドルとしての実感の両方から、アイドルを支える関係の温かさが語られました。
「立ち止まっても休憩してもいい」海梨を通して届けたい言葉
最後に佐藤は、映画を観た人に届けたいメッセージを、自分自身の言葉で伝えました。
「映画を見てくださった方はきっと伝わっているかなとは思うんですけれど、人それぞれ自分のペースがあると思うんですよ。自分のペースで立ち止まっても休憩してもいいから、そのままのあなたでいいんだよっていうことを、この映画と海梨を通して皆さんに伝わっていたら嬉しいなと思います」
夢を追い続ける中では、思うように進めない日も、足を止めたくなる瞬間もあります。佐藤が海梨を通して届けたいと語ったのは、そんなときにも、一人ひとりのペースを肯定する温かな言葉でした。
「これからまだまだ上映もありますので、ぜひたくさん劇場に足を運んでくださったら嬉しいです」と呼びかけた佐藤。映画初主演という挑戦を通じて、演じる喜びと、アイドルとしてステージに立つ意味を改めて実感した舞台挨拶となりました。
映画『歌って!』は全国公開中。夢へ向かう人、誰かを応援する人、そしてかつて夢を追いかけた人へ、少女たちの友情と葛藤を描く青春の物語を届けます。
◎文:ACTRESS PRESS編集部









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