2021年9月16日(木)~11月14日(日)まで上野の森美術館にて開催されている『蜷川実花展-虚構と現実の間に-』を記念して、10月2日に蜷川実花本人による囲み取材が行われた。
2018年から全国10カ所でスタートした巡回展。
延べ約27万人、今回の東京会場だけで約8万人の来展見込みと、大きな反響を呼んでいる。
400点に及ぶ作品の中には開催初日の3、4日前に制作された作品もあり、アップデートし続ける最新の蜷川が体現されている。
【展示会場】
取材は館内2階の蜷川自身の書斎を再現した展示の中で行われた。
赤を基調とした特徴的な書斎からは、奥底から湧き出るエネルギーと本能に突き刺さるような高揚感が感じられた。
「今回の展示はこれまでの集大成。もう2度とできない展示。自宅の引っ越しも兼ねて家から全てのものを2トントラックで持ってきて書斎を再現した。私の脳内、ありのままの姿を見てもらうことができる」と巡回展が始まってからこれまでの3年に及ぶ苦労を振り返りながら、自信に満ちた笑みを見せた。
蜷川の作品の特徴は、誰をも魅了するポップで色鮮やかな色彩感覚が挙げられる。
「色彩感覚はキルト作家である母蜷川宏子に近い。演出家である父蜷川幸雄からは舞台セットのような過剰さに影響を受けている」と誇らしげに語った。
今回の展示では、順路終盤、父蜷川幸雄が病に倒れ、ゆっくりと死に向かう一年半の日常を撮影した作品も鑑賞できる。別れゆく父と、寄り添う娘の視線が交錯する繊細で緻密な作品は、儚く、だからこそ尊く美しい生命そのものが体現されているかのようだった。
蜷川自身の進化は「まだまだ。できることはもっとたくさんあるはず。コロナがあったから新たな地点へ辿り着けたと思えるように、今を精力的に生きていきたい」と貪欲な姿勢を見せた。現在パリでも展示会を開催している蜷川。これからも世界中の人々を魅了し続ける。
【蜷川実花 プロフィール】
蜷川実花(にながわみか)
写真家・映画監督
木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。
映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)監督。映像作品も多く手がける。
2008年、「蜷川実花展 −地上の花、天上の色−」が全国の美術館を巡回し、 のべ18万人を動員。
2010年、Rizzoli N.Y.から写真集を出版、世界各国で話題となる。2016年、 台湾の台北現代美術館(MOCA Taipei)にて大規模な個展を開催し、同館の動員記録を大きく更新した。2017年、上海で個展「蜷川実花展」を開催し、好評を博した。
https://mikaninagawa.com/
【開催概要】
会期:2021年9月16日(木)〜11月14日(日) ※会期中無休
会場:上野の森美術館
開館時間:10:00 – 17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,800(1,600)円、大学・高校1,600(1,400)円、中学生・小学生600(500)円
*平日は日付、土日祝は日時指定制。観覧前日までは( )内の前売り料金で購入できます。
東京会場公式サイト:https://ninagawa-exh.com/
◎ACTRESS PRESS編集部
取材・文:高村優奈(慶應義塾大学)
協力:scketto
https://twitter.com/scketto1
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