橋本愛が語る「愛がわからない女」のリアル ――FODオリジナルドラマ『にこたま』完成披露試写会で見えた、“今”を生きる覚悟

橋本愛/ドラマ『にこたま』完成披露試写会.20251226

女優・橋本愛(はしもと あい)が主演を務めるFODオリジナルドラマ『にこたま』の完成披露試写会が12月26日、フジテレビ本社マルチシアターにて開催された。イベント当日は配信初日ということもあり、会場には作品をいち早く見届けようと多くの関係者・報道陣が集結。舞台挨拶には橋本のほか、瀬戸康史比嘉愛未が登壇し、原作への想い、役柄への向き合い方、そして作品が現代に投げかけるメッセージについて、率直な言葉が次々と語られた。

橋本愛/ドラマ『にこたま』完成披露試写会.20251226

原作ファンだった橋本愛、「夢がかなった」実写化

『にこたま』は、渡辺ペコによる同名コミックを原作としたラブストーリー。2009年の連載開始当時から、恋愛・結婚・家族といったテーマを一面的に捉えるのではなく、「正解のない関係性」を描いた作品として、多くの読者の共感を集めてきた。
主演を務める橋本は、もともと原作の大ファンだったことを明かし、「今回の実写化は、自分にとって夢がかなったような感覚もあった」と率直な想いを吐露。好きな作品だからこそ、プレッシャーも大きかったというが、「だからこそ、誠実に向き合わなければいけないと思った」と静かな決意をにじませた。

「平和で幸せ」から一転、追い詰められていく温子

橋本が演じる浅尾温子は、大学時代から12年間寄り添ってきた恋人・岩城晃平(瀬戸康史)と同棲中の女性。物語の序盤では、穏やかで安定した日常を送っているように見える。
橋本は役柄について、「第1話では、あっちゃん(温子)はわりと平和で、幸せに過ごしているように見えると思う」と語る。しかし物語が進むにつれ、その日常は少しずつ揺らぎ始める。「この先、どんどん追い詰められていくあっちゃんの選択や感情が、本当にリアルで。年齢的にも、切実な問題として描かれているなと感じました」と、作品の現実味を強調した。

「恋がわからない」主人公が抱える違和感

温子という人物を語る上で欠かせないのが、「恋愛感情が人より薄い」という設定だ。橋本は、「そもそも恋ってなんだろう、と考えてしまう人」と温子を表現し、「私は晃平を愛しているのかな、と自分に問い続けてしまう。その複雑さが、この作品の根っこにある」と語る。
恋をしているはずなのに、確信が持てない。愛しているはずなのに、言葉にできない。そんな曖昧で不安定な感情を、橋本は繊細な表情と間で体現している。

橋本愛/ドラマ『にこたま』完成披露試写会.20251226

「ざらっと残る」一言が示す、温子の人生

イベントでは、それぞれが“印象に残っているセリフ”を紹介する場面も。橋本が挙げたのは、第1話で親友から投げかけられる「“あっちゃんは、冷めてるもんねー”」という一言だった。
「なんてことない一言だと頭ではわかっているのに、妙にざらっと残る。その感じがすごくリアルだなと思いました」と橋本。「『ショックだった』ではなく、『ざらっと残る』という表現が、温子のこれまでの人生や強さを物語っている気がして。冷たい人間なんじゃないか、という違和感と一緒に生きてきた人なんだろうなと感じました」と、役への深い理解を語った。

原作の先見性と「今」ドラマ化する意味

原作者・渡辺ペコ氏への想いを聞かれた橋本は、「先生がこの漫画を描いたのは10年以上前。当時は、今ほど多様性が可視化されていなかった時代だったと思う」と振り返る。
「恋愛するのが当たり前、結婚して家族を持つのが幸せ、という共通認識が強かった時代に、この物語を描いたこと自体が本当にすごい」と称賛しつつ、「だからこそ、今この作品をドラマ化する意味も考えなければいけないと思いました」と真剣な表情で語った。
原作とドラマでは一部表現が異なる点もあるが、「そこは制作チームのみんなと一緒に、一生懸命考えながら作ってきた」と明かす。

橋本愛/ドラマ『にこたま』完成披露試写会.20251226

「家族は、選べるものでもある」

イベントの最後、橋本は視聴者へのメッセージとして、作品を通して得た自身の気づきを語った。
「温子の選択は、それが一番幸せとか、最善だと言い切れるものではないかもしれない。でも、彼女と晃平が覚悟を持って選んだ一つの道なんです」と前置きし、「家族って授かりものでもあるけれど、自分で選べるものでもあるんだなと、このドラマを通して学びました」と言葉を紡いだ。
「登場人物たちの選択が、自分の考えと違っていたとしても、どこかで自分の人生や選択を見つめ直すきっかけになったらうれしい」。その言葉には、作品と真摯に向き合ってきた主演俳優としての覚悟がにじんでいた。
FODオリジナルドラマ『にこたま』は、FODおよびPrime Videoにて毎週金曜20時より配信中。
橋本愛が体現する「愛がわからない」という感情の行方は、きっと多くの視聴者自身の心にも静かに問いを投げかけるはずだ。

◎文:ACTRESS PRESS編集部

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