パルコの2016年SS広告が公開された。
2014AWから、フランスのクリエイティブユニット「M/M(Paris)」(エムエムパリス)、フォトグラファー・Viviane Sassen(ヴィヴィアン・サッセン)が継続起用されている。
2015AWと連作になる2016SSは、モデル・Anna Cleveland(アナ・クリーブランド)、スタイリスト・Benjamin Bruno(ベンジャミン・ブルーノ)が起用され、2015年6月、オランダ内陸の砂丘地帯で撮影が行われた。
今シーズン(2015AW-2016SS)は、「月」というテーマの設定で、トランプの4種の柄(ダイヤ・スペード・ハート・クラブ)をモチーフにしたカイト(凧)と、モデルAnna、そしてAnnaの影の存在スーツアクターが複雑に絡み合いながら、四季の変遷とファッションの永続性を表現している。
★2015AWはダイヤ&スペード。連作となる2016SSはハート&クラブ。
▼詳細Web page
http://parco.jp/style/
※ポスター、CF、M/M(Paris)のコメント等を閲覧可能。
【制作物】
●ポスター B1タテ、B3ヨコ 各2種
※掲出期間:2016年1月11日(月)~7月10日(日)
●CF 15秒、30秒、60秒
※TVでのONAIRは3月を予定
※WEBで視聴可能。
▼【PARCO(パルコ)2016SS・60秒CM】は、こちら♪
【CONCEPT】
自然が創り出す時間の変化を告げる4つの季節。
その変化を月のリズムにあわせてチャーミングに描くのは、
トランプの4つのマーク、そして4つの季節のクイーンとして存在する、アナ。
生命力とエネルギーに満ちあふれたアナと、4つのマークを運ぶ彼女の影が、
ファンタジーで、リアルな、パルコのファッション世界を描いていく。
the Queen of Diamonds,
the Queen of Spades,
the Queen of Hearts,
the Queen of Clubs.
Anna, from Moon Phases to Moon Faces.
【制作スタッフ】
クリエイティブディレクター、グラフィックデザイナー:Mathias Aygustyniak、Michael Amzalang(M/M Paris)
フォトグラファー:Viviane Sassen
キャスト:Anna Cleveland
スタイリスト:Benjamin Bruno
ヘアメイク:Irena Ruben
ダンサー:Majon van der Schot
セットデザイナー:Frank Visser
映像プロデューサー:Juliette Lambert
ミュージック(CF):Ricardo Tobar「Crystal Sun」
企画制作:Yukari Ohyama、Akira Takamiya(RCKT/Rocket Company*)、PARCO
【M/M(Paris)からのコメント】
the Queen of Spades,
the Queen of Hearts,
the Queen of Clubs.Anna, from Moon Phases to Moon Faces.ファッションウィークというイベントが持つ重要さの度合いは、都市によって異なります。東京のファッションウィークは、パリやミラノ、ニューヨーク、ロンドンに比べ、さほど注目されていないかも知れません。にもかかわらず、東京はファッションにとても敏感な都市であり、ファッション業界でも極めて大きな存在感を放っています。東京のストリートは、あたかも年中ファッションウィークのようであり、流行の震源地となっているようにも思います。ファッションをコンテンポラリーな文化として築いてきた歴史が日本にはあり、世界的な影響力を持つ日本人ファッションデザイナーが数多くいることも、なんら不思議ではありません。
そして日本は、クリエイティブ性だけでなく、販売面に関しても世界の最先端を走っていると思います。それは、昨年から手掛けたパルコのキャンペーン広告について私たちが語る際、パルコがファッションビルとして革新的なモデルであると言い続けてきたことにも繋がります。パルコは、ひとつの場所にさまざまな種類のファッションを集約させることで、これまでになく拡大・多様化しつつあるファッション愛好者たちを引き寄せることに成功しました。まさに、パルコは「ミニチュアファッション都市」と言えるでしょう。また、パルコは特にファッションカルチャーに造詣が深く、その歴代の広告には秀逸なグラフィックアーティストを起用し続けてきました。
そんななか、昨年、私たちがパルコの広告を作るうえで最初に考えたのは、季節という自然が創りだすリズムにあわせて人々が生活しているように、季節を通じて人々が集まる特別な場所としてパルコが存在しているということを伝えることでした。そこで、生命力に満ち溢れたリリーをキャスティングし、彼女はその有り余る生命力で、1年間を通して多くの人々にキャンペーンのコンセプトを伝えてくれました。リリーは若くてフレッシュな女性であるだけでなく、ファッションの歴史にも大きく関係しています。彼女の母親クリステン・マクメナミーは、かつての、そして現在においてもファッション界の重要人物であり、リリー自身がファッションの過去、現在、未来を表す象徴でもあります。私たちは至点のリズムで季節を追った4種のポスターを作ることで、リリーの超自然的なキャラクターを強調しました。さらには、リリーの12ヶ月を表現した、繰り返し使えるカレンダーもデザインしました。
そして今回、パルコが描くファッション界のなかで、まったく新しい過去、現在、未来を象徴するキャラクターとして、アナという女性を登場させました。アナもまた、生命力とエネルギーに満ち溢れた、ファッションの歴史に大きく関わる存在です。アナの母親パット・クリーヴランドは、ゆで卵を食べるフェイ・ダナウェイにも匹敵する、ファッション業界のアイコンでした。前シリーズのリリーは季節の変化を至点から至点で表現し、今回のアナは季節の変化を月のリズムで体現したのです。
また私たちは、月の位相とトランプの記号(マーク)の間に、暗号化された相関関係があることに気づきました。ダイヤ、スペード、ハート、クラブのマークは月の位相、つまりは季節のリズム、ダイヤは秋、スペードは冬、ハートは春、クラブは夏を示しています。そこで私たちは、アナを各マークのクイーン(女王)、ひいては各季節のクイーンに見立てることにしたのです。
そして、ヴィジュアル的な側面でのクリエイションとして、前回と同じように彫刻的なポージングをアナにとってもらい、さらにそれをより強調させるために、彼女自身の等身大の影を作成しました。また、前回と同じアーティストに特大の凧を製作してもらい、アナの影にそれを持たせました。
さらに、この広告をファッション的な側面でも進化させるべく、世界中からのオファーが絶えない新進気鋭なスタイリスト、ベンジャミン・ブルーノにスタイリングを依頼し、ファッションの鋭敏性も表現。それによって、アナがダイヤ、スペード、ハート、クラブを通してチャーミングに、ナチュラルに、そしてエレガントに季節の変容を演じ分けることができました。
また、ファンタジーでありながらとてもリアルにこの世界感をヴィジュアル化するため、今回も写真家のヴィヴィアン・サッセンに撮影を依頼しました。彼女は、明るい日光と、それが生み出す強い影のコントラストを巧みに操ることで、私たちが継続的にパルコに提案している季節的なコンセプトを、完璧にヴィジュアル化してくれました。
今回の私たちの提案は、前回とどこか類似性のあるものに見えるかもしれません。友達のような親近感を覚えるかもしれません。しかし不思議なことに、長く見れば見るほど良い部分が見え始め、実際にはまったく違うものであることに気づいていただけるはずです。継続性と一貫性は、激動するファッション界において成功の秘訣の一つとも言えます。
最後に、今回もパルコのヴィジュアル表現の構築、ひいては美しく意義深いイメージを通じた日本のヴィジュアルランドスケープ(視覚風景)作りに参加させていただけたことに感謝します。
2015年7月 M/M (Paris)
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◎情報提供:株式会社パルコ