蜷川実花、写真から気づかされた感情の変化。光に溢れる「今」と「これから」 【Reporter:霍田真麻】

「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会

東京都庭園美術館にて、6月25日(土)から9月4日(日)まで開催されている「蜷川実花 瞬く光の庭」展のプレス内覧会で、蜷川自身が撮影当時の感情やエピソードを振り返り、この展覧会にかける想いを語った。

【記者会見】

蜷川は「東京都庭園美術館は学生の頃から来ていた場所だったので、お話をいただいたときはとてもうれしかったです」と笑みを見せ、展示写真の撮影期間を振り返った。写真はこの1年半にすべて国内で撮影したものとのことで、「4万枚近く撮った写真から約80枚を飾っています。この写真たちはどれも私の心が動いた瞬間に撮影したものなんです。そう考えると4万回も心が動いたのかとびっくりしますよね」と、自身の感情の変化にも気づかされることがあったとのこと。「私の中で撮るという行為は自分の感覚が研ぎ澄まされた瞬間であり、撮ることで自分自身を安定させていたのではないかと思います」と語った通り、これまでの蜷川の作品とはまた違う世界観を感じることができる。

「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
コロナ禍ということで先が見えずに不安な世の中で「きらめきであったり、こうあってほしい未来を写した瞬間でした。一方で、その瞬間というのは儚くて、消えないでほしいとも思いながら撮っていました」と語る。
また、展覧会全体について「素直な展示になれたと思います。このお屋敷全体を見て体感してほしいです」と笑顔を見せ、締めくくった。

【館内紹介】

アールデコ様式による装飾と、窓から差し込む光と庭の景色を借景にすることで、時間ごとに変化する作品を楽しむことができる。
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
最新作では、これまでの蜷川の作風である「極彩色」から、光と柔らかな色調の「光彩色(こうさいしょく)」への変化を感じることができる。

「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会

窓からの借景によって作品がより一層彩られる。

「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会

「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
「蜷川実花(にながわ みか)瞬く光の庭」展のプレス内覧会
 霍田真麻(慶應義塾大学)ACTRESS PRESS REPORTER(アクトレスプレス)

【プロフィール】

蜷川実花(にながわ みか)
写真家/映画監督
木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。
映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)監督。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』が世界190ヵ国で配信中。映像作品も多く手がける。

2008年、「蜷川実花展」が全国の美術館を巡回。2010年、Rizzoli N.Y.から写真集を出版、世界各国で話題に。2016年、台北現代美術館(MOCA Taipei)にて大規模な個展を開催し、同館の動員記録を大きく更新。2017年、上海で個展「蜷川実花展」を開催。2018年から2021年に全国の美術館を巡回した個展「蜷川実花展—虚構と現実の間に—」は各地で好評を博し、のべ約34万人を動員した。2022年、北京で最大規模の個展「蜷川実花展—虚構と現実の間に—」を開催中(6月19日まで)。最新監督作『ホリック xxxHOLiC』が2022年4月29日より公開。

公式サイト:https://mikaninagawa.com

【開催情報】

蜷川実花「瞬く光の庭」

展覧会タイトル:蜷川実花「瞬く光の庭」
会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
期間:2022年6月25日(土)~9月4日(日)

公式サイト:https://www.mikaninagawa-flickeringlight.com

【展覧会概要】

蜷川実花は現代日本を代表する写真家・映画監督として、独自のスタイルで知られています。その視線は一貫して、いのちの輝きと儚さに対して向けられてきました。写真を中心に、多岐に渡る表現を手掛ける蜷川ですが、この展覧会では、コロナ禍の国内各地で昨年から今年にかけて撮影された、最新の植物の写真と映像をご覧いただきます。アール・デコ様式で装飾された当館の建築に蜷川の作品を重ねることで、様々な時間の交差する場を出現させるものです。植物から植物へと、あたかも蝶のように回遊しながら、蜷川のまなざしを追体験できる貴重な機会となります。

本展に先立ち2018年より国内10か所を巡回した「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」は、コロナ禍までを含む蜷川のキャリアを総覧するものでした。本展では、さらなる飛躍を期待される蜷川の最新作と、ほかに類を見ない当館の建築空間との競演をお楽しみいただけます。蜷川が今、強く惹かれているという、光に溢れた色 “光彩色”(こうさいしょく)の世界、夢かと見まがうかのような現実の一瞬を映し出す写真やダイナミックな映像インスタレーションによる、蜷川の新機軸となる「今」と「これから」にご期待ください。

【感想】

霍田真麻(慶應義塾大学)ACTRESS PRESS REPORTER(アクトレスプレス)
蜷川さんにしか撮ることのできない視点から撮影された四季折々の花たちが美術館を彩り、息を飲むほど美しい空間がそこにありました。また今回の展示会は東京都庭園美術館を活かした展示ということもあり、光の差し込みや木々の青さを背景としてより蜷川さんの作品を引き立てていた点が印象的でした。(霍田真麻)


蜷川実花 & 霍田真麻(慶應義塾大学)ACTRESS PRESS REPORTER(アクトレスプレス)

◎ACTRESS PRESS編集部
◆文:右~霍田真麻(慶應義塾大学)
◆撮影:Scketto:https://twitter.com/scketto1
記者連載記事:https://actresspress.com/category/report/

スポンサーリンク