2020年12月19日・20日赤坂草月ホールにて上演される音楽座ミュージカル『Sunday(サンデイ)』。東京公演を前に12月18日、赤坂草月ホールにてゲネプロと会見が行われた。
本作はアガサ・クリスティー『春にして君を離れ』が原作。2018年に初めてミュージカル化され、好評だったため2020年の再度上演が決まった。しかし新型コロナウイルスの影響で中止・延期が続いたため今回は舞台映像の配信が決定した。
弁護士の妻として子どもたちを立派に育て上げたジョーン・スカダモアは、バグダッドに次女バーバラを見舞った帰り、ひどい雨に降られて砂漠に足止めをくらってしまう。砂漠の強い日差し、薄暗いレストハウス、本も読み尽くして話す人もなく、やることもなければ食べるものも缶詰ばかり。退屈な日々の中でジョーンは、自らの「素晴らしい」人生を思い出す。美しく塗りこめられた思い出は、時間とともに少しずつ真実の姿をさらけだし、やがてー。(音楽座ミュージカル公式HPより)
音楽座ミュージカルとは
「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」(原作/筒井広志『アルファ・ケンタウリからの客』 )で旗揚げし、以降30年以上にわたってオリジナルミュージカルを創り続けてきた。
それぞれの作品は「生きる」ことの根源を問いかける精神性とオリジナリティを高く評価され、文化庁芸術祭賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞など多くの演劇賞を受賞。
【会見】
ゲネプロ終了後には囲み取材が行われました。
左からゲッコー役広田勇二さん、ジョーン役高野菜々さん、レスリー役森彩香さん。
2018年の時から同じ役を演じている3人。
高野さんは再演での変化について、「ジョーンは40代後半の女性で私の実年齢とは相当かけ離れているので、年齢相応の深みを出すことが難しかったです。そんな中、2020年の『SUNDAY』が2018年版からラストの演出が変わったことがヒントになりました。2020年版はジョーンをより身近な存在に感じられる演出になっています。」と語った。一方、「私はジョーンと似ていたので特別な役作りはしませんでした。また、音楽座をなんとかしたいという私の思いと家庭を良くしたいというジョーンの思いが重なり、ジョーンに共感できました。」と語った。劇中では良い母、良い妻に限らず様々な面を見せる彼女。見た人は自分をジョーンと重ね合わせながら没入できる作品である。
高野菜々(ジョーン)
ジョーンは自分のことを良妻賢母と信じ、自分のおかげで家庭が上手くいっていると考える女性。
ゲネプロを終えてまだ興奮冷めやらぬ様子の高野さん。
「1月からこの公演の稽古を始めたものの、新型コロナウイルスの影響で延期や中止となり東京公演が12月に。なので一年間このSUNDAYをやらせていただいた、そんな感覚です。この東京公演を持って大千秋楽となるのでこのカンパニーとしても東京公演にかける思いは大きく、また、このコロナ禍でも足を運んでくださることに感謝してやりたいです。」と思いを語った。
配信の前に、この度、令和2年度文化庁芸術祭賞(演劇部門新人賞)受賞の朗報が届いた。
左:広田勇二(ゲッコー)
ゲッコーはジョーンの影的な存在。ジョーンの潜在的な考えやもう一つの行動形態を俯瞰する。
右:森彩香(レスリー)
レスリーはジョーンが理想とした生き方の真反対を生きる。人の目を気にせず自分の気持ちを大切にする女性。
【会見の模様を動画で紹介】
【配信紹介】
「SUNDAY(サンデイ)」は2018年に誕生した最新作ですが、2020年、脚本や演出など大幅に変更を加えて再演いたしました。新型コロナウイルスの影響で中止や延期が続き、ご覧いただけなかった皆様にもお届けしたいと今回、特別に舞台映像を配信することにいたしました。
客席だけでなく舞台上にもカメラを入れ、スタビライザーを用いた動きながら撮影するなどの工夫を行なっている。そのため、ダンスシーンなどをより迫力のある絵で楽しめるほか、主人公の心の動きに伴う表情の変化など、客席からは見ることができない部分まで見ることができる。
12月28日(月)19:00 〜2021年1月3日(日)22:00まで、期間中は何度でもご覧いただけます。
配信に関して:https://eplus.jp/sf/guide/streamingplus-userguide
音楽座ミュージカル公式サイト:
http://www.ongakuza-musical.com/works/sunday
◎ACTRESS PRESS編集部
・取材・文:右~北村野乃(東京大学4年)
・協力・左~佐々木夢夏(中央大学4年)・中央~佐々木愛(明治学院大学4年)
・撮影・仲西一成(scketto)
<レポーター・プロジェクト>
https://twitter.com/scketto1