2022年10月31日、“渋ハロ”こと渋谷ハロウィンが終了した。コロナ禍による自粛規制がない3年ぶりのハロウィンだったのだが、ハロウィン本番2日前の29日、韓国・ソウル 梨泰院(イテウォン)のハロウィンにて、犠牲者が150人以上にのぼる建国以来最悪の圧死事故が起きたのだ。
この事態を重く受け止めて、渋ハロでも厳戒体制が敷かれた。警視庁は、警察官をはじめ数百人規模の機動隊員らを動員して、来場者が立ち止まったり、溜まったりしない様にきめ細かく対応した。また渋谷区も今年、路上飲酒禁止条例を制定して100人超えの民間警備員を配置するなど、混乱防止に力を尽くした。
そのおかげもあり、大きなトラブルや逮捕者も出さずに無事に終了することができた。まずは警視庁と渋谷区に拍手を送りたい。「日本のハロウィンは、混雑してもセーフティだ」と世界中に示すことができた事は大きいといえよう。
“ お手軽ちょっぴり仮装”が多かった渋ハロ
今年の渋ハロへの来場者の仮装割合は(カウントした訳ではないのであくまでも筆者の肌感として受け取ってほしいが)、本格的な全身仮装の人が半分程度で、耳や仮面だけつけて普通メイクで仮装着用の“ お手軽ちょっぴり仮装”が意外に多く4割、普通の服装でハロウィンを楽しんだり、写真などを撮り来た人が1割という感じだ。おそらく本格的な全身仮装は、混雑した場合、韓国の事故もあったので危ないだろうと判断して回避した人もいるのではないだろうか。
仮装のカテゴリーとしては、メイドや魔女、天使、ナース、SWATなどの定番が多く、ホラー系ゾンビは意外に少なかった。ジョーカーやハーレイ・クイーンなどのアメコミキャラクターは今年も根強かった様だ。また今年アニメもはじまった人気コミック「チェーンソーマン」のチェーンソーマン、パワー、ビーム、暴力の悪魔のキャラクターを多く見られた。昨年に引き続き、「東京リベンジャーズ」の特攻服の姿もチラホラ見られた。
来年、2023年ハロウィンの仮装予想としては、Netflexにて大人気アニメ「幽遊白書」がオールスターキャストで実写化されるのでその仮装と、コミックが完結間近で第二弾映画が2023年公開が決定した「東京リベンジャーズ」仮装がまた増えるに違いない。
無事に終了した2022年渋谷ハロウィンだが、課題も残った。路上への多くのゴミ散乱で、規制されたはずの酒類の空き瓶なども多かった。いくら規制してもこっそり持ち込むのは常である。それも想定して来年は、宇多川交番やドン・キホーテなど皆がよく知っているスポットに分別用の大きなゴミ箱を設置するのはどうだろうか。フェスやアミューズメントスペースでもそうだが、ゴミ箱があればそこに捨てるのでゴミの散乱はかなり減るだろう。そしてコロナ禍の収束が進むなら、コロナ禍前の渋谷ハロウィンで実施していたSHIBUYA109周辺の歩行者天国を復活すると、より多くの来場者が増えるに違いない。さらにそこにステージを設置して、早い時間に仮装コンテストやったり、仮装した有名アーティストによるライブもやったら最高に盛り上がるだろう。
渋ハロに参加していた外国人の来場者の方たち何人かにヒアリングをしたが、「渋ハロの様な仮装した人たちがひとつの街に集まるフェスは、世界中探しても日本の渋谷にしかない」と言っていた。
最後に“夢物語”の提言として、ハードルはかなり上がるが、『渋谷ハロウィン』を世界に誇れるセーフティで熱いオールナイトイベントにするために、入場を有料にして、その金額の一部を警備増員費にまわし、渋谷周辺の飲食店で使用できる金券をいくらか分を付けて、渋谷の街を仮装で闊歩するだけではなく、渋谷の飲食店に還元できる仕組みを作るのもありだろう。
来年もより良い“渋ハロ”の実施を期待したい。
(執筆 TEAM X)